長谷川建築デザインオフィス株式会社

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住宅力

住まいは生活から形づくる

画像などイラストレーション(必要に応じて)

「生活」は人の行為や活動の積み重ねから成立しています。「その人」の住宅は「その人の生活」を柔軟に受け入れるものでありたい。

とはいっても、住み手それぞれに生活はユニークですから、空間を創出するに先立って、その生活を見つめる「方法」を知る必要があります。

具体的には「カルテをつくる」という次項に譲って、ここでは、その各人ユニークで変化に富んだ生活を、普遍性を持って背後で支える生活環境を形づくるためのキー概念を考えてみましょう。

とりあげるのは「バリアフリー」。

耳にしていない人はいらっしゃらないほどに市民権を得たこのことば。公共の建築ばかりでなく家の中の段差、通路幅の規定も明確な数値化が行われ、利用しやすくなりました。むしろ、神経質なほどにフラット化、スロープ化しています。悪いことではなくむしろ歓迎すべき動向ですが、こうした物理的バリアの解消以外にバリアフリーは多くを教えてくれます。

バリアを見抜く目を持つ

バリアとは文字通り障壁や障害を総称します。これを「フリー」化する、すなわち障害物をなくしていくということです。目を凝らして観察しますと、実は様々な場所、局面にバリアーは存在します。 「バリアフリー」の生活環境づくりは「バリアを発見する目を養う」ことから始まります。

太陽のバリア

家の中に明るい場所と一日中全く日射しが入らない、明かりの気配さえ感じられない場所がある。これは太陽の光を遮断するバリアがあるからに他なりません。このバリアをこしらえない方法を多角的に調査する必要あり。(温熱環境/太陽のことを参照)

風のバリア

風のバリアフリー

風通しの悪い家はいかに段差が解消されてもバリアフリー住宅とは呼べません。

住宅を閉め切ったままでも24時間換気できるような機械に頼り切った「潜水艦住宅」とでも呼べる考え方もありますが、「自然の揺らぎを伴った風」を肌で感じられる住まいこそ人間にとって原始的な環境です。

それを回復するには「開放性に富む」空間づくりを再考。
(温熱環境/風のことを参照)

温熱環境のバリア

家のなかの事故は、階段やお風呂場など段差を伴った場所以上に、致命的な事故は極端な温度差のある場所におけるヒートショックから生じています高齢者を含む肉体的 ハンデのある方々が、心不全・脳内出血・脳卒中などを引き起こす、あるいが悪化させる主原因として温熱環境の担う役割は重大。冬場ふとんのなかでは40℃に近い温もりが 体を包んでいますが、夜間トイレなどに向かう際、廊下に出ると、そこはおそらく10℃以下の世界。健常者でも大変なギャップです。建物内の結露は温度差があるかぎり解消 できません。結露、とりわけ壁の中の結露は腐朽を生みます。建物の耐久性を担保するにも、温度差を極端に生じない作り方が必要。これからは温熱環境がバリアフリー化された 家がスタンダード。(どまだんシステムの項を参照)

こころのバリア

ひとつ屋根の下に暮らす家族が努力をしなければコミュニケーションできないような生活が分断された間取り。人間はタフでどんな環境でも順応するとはいえ、「低きに流れる」 つまり楽な方に流れる。対話にはパワーが必要。ごくごく自然に顔が見え、心が結ばれるバリアーのない間取りとは。
(次項の「間取りの読み方」を参照)

住まいと町のバリア

住まいと町のバリアフリー

街路は道路となり、町から「かいわい」といった情緒は失われ、自分の家の前に水を打つ人などは希少価値、前の道路のゴミすら私には関係なし。これは住まう方のこころの問題 だけでなく、もっと複合的な原因がありそうです。「住まいのつくり方」も起因しているのではないか。なぜならば、町は住まいの総体だからです。
町と住まいを結ぶ。ここにも新たなバリアフリーが求められます。

時間のバリア

時間を経て、より「生き活き」と暮らせ、時とともに、ある種の風格さえ浮かび上がる、そんな住まいを取り戻すには「時間」と向き合ってそのバリアを知恵で克服きちんと、お手入れ することを前提とし、しっかり耐久性を持たせる。また「間取りの柔軟性」へも考慮し、時間を超えていく。

住まいと町のバリア

住まいてである皆さんは、自分の家づくりを現実化する際、建築家、工務店、ハウスメーカーなど、相談する相手はいずれにせよ、プロの建築家に要望を伝え、それを形に描いていただくことになります。 住み方がうまくことばにできないような「想い」をすくいとって形にするのがデザインです。この作業において、創り手と住み手の間のバリアが、なくなればハッピーな住まいづくりになり「自分に適った家」が必要条件です。
「カルテをつくってみる」にヒントの一端を綴りました。)

バリアーを見抜くまなざし、そしてバリアフリー化していくプロセスは、
一律なルールがあるわけでなく、そうした想いをお互いが「対話」していく作業そのものといえます。

その語らいをするうえでのイメージとして、いろいろなものを常に
「結ぶように発想」「開いた家を創る」
姿勢が、深いレベルのバリアフリーな生活環境を浮かびあがらせてくれるでしょう。

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