温熱環境をデザインする
住宅建築づくりとは、あらためて記すまでもなく、皆さんの人生において最も大きな資財をかける「事業」です。
眼に見える形の背後に、どれだけ元気に長持ちする「素養」を建物が所持しているか。素養と例えたのは、これは建物の先天性に関わるものであり、あとから手軽に手当することが難しい性能に根差しているからです。
温熱環境づくりが住宅にとっても、その他の建築にとっても優先順位が高い位置づけになったのは「暖かい」とか「涼しい」といった快適性ばかりでなく、建築の耐久性にも関わる重要なことがらを内包している事実があきらかになったからです。
もちろん、歴史的に俯瞰しても、建物の「価値」は性能で評価しきれないことは充分に承知しつつ、しかし、快適で、持続力を持ち、そして共感を呼ぶよい形こそ、「住宅」という暮らしを支える空間づくりにはふさわしい在り方です。
ここでは、今まさに注目される「パッシブ/呼応」力の根本である「太陽・風」の話題から、人間が「快適」に感じる生理に関しても定量的に示しています。更に木造の持続性や丈夫さに影響の大きい「木材」の含水率も示しています。