和の力・温もり・陰翳礼賛01|スキップフロアの立体空間
横浜の「港南区」に建つこの住まいは、このあたりの地勢的特徴である、小高い山をひな壇造成した敷地に建っています。
南には八景島方向を望む、谷を見下ろすような高台です。
道路から見上げる
夏場の日射に対し、たっぷりとした庇と屋根で遮光を徹底する
30年来の住まいを取り壊しての新築ですが、
みんなの記憶がいっぱいつまった素朴なアプローチ階段はそのままに残すことにしました。
但し、14段もの野面石の階段は将来的にもバリアーがあり、
思いきって道路側を「階段7段分」掘り、削り取ってしまい、住まいの内部にその階段を移動。
従って、必然的にスキップフロアーの構成が生まれました。
庭側の様子
スキップフロアーは外部でも結ばれていて「デッキ」は様々なスペースからアプローチできる。
庭側の様子
スキップフロアーは外部でも結ばれていて「デッキ」は様々なスペースからアプローチできる。
玄関ポーチの様子
階段から玄関の招き猫をみる
玄関からアプローチのつながり
豆砂利の洗い出された土間に、飛び石のように配されたタイル. 野趣(やしゅ)な世界のはじまりを告げる.
写真右
写真 左
玄関からたたみの間を見る
写真 右
たたみの間から玄関方向を見る
写真
畳の間は少し半地下のように周囲にドライエリアを持って、ここは路地空間のような赴き.
写真
スキップのレベル差を利用して、仏壇や座ぶとんなどの収納を作り付ける.
写真 左|たたみの間からスキップ階段
外部の段差や階段を減らし内部に階段をふやすこよで外部のバリアを減らしている
5層のレベル差をもつスキップフロアーは中間に吹抜けを持っていて、
それぞれのフロアーから他のフロアーが必ず二つ見える、
すなわち「二つの世界」が見える構成としています。
大テーブルの間から見た中2階
ケシガラスと格子が太陽のニュアンスに反応し光と影を変化させる。
オーナーの嗜好である「アジア的」な家具を包み込む空間とすべく、
少し「毛深い」素材感でみたされたインテリア。構造体を露にした空間は漆黒に塗られ、
白壁や藁壁と強いコントラストをつくっています。
写真 右
「ふたつの世界を見る」がこの家の空間テーマ。たたみの間とパノラ間を見る.最上部はロフト.
写真
スキップフロアを正面に見る
仕上げとしては、インテリア素材は全て自然素材がテーマとなっています。
自然塗料はリボスというドイツのエコ塗料、天井は自然素材を編んだクロス
写真 左
対面キッチン
塗壁はアッシュライトという「光触媒」を練り込んだ火山灰を主体にした塗壁。
微少な光で臭いを分解しつづける素材です。
写真 右
大テーブルの間を中2階から見下ろす。
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中2階のパノラ間から読書コーナー側を見る
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パノラ間から眺めのいいデッキ上部にはロフトが走る
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踊り場の中国格子が「西日」に反応する.
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スタディコーナーが西日に照らし出される
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ロフトで遊ぶ子どもたち. パノラ間での賑わい. たたみの間の静けさ. そして、食の空間のだんらん. 全ての世界を一望に見る。
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書棚は可動とせず、大型本、小型本、等本屋のように計画する
写真
ケシガラスが光を拡散する。中華風格子が西日に反応する
夏は「木陰の涼しさ」を創り出すことを目標とし、通風と断熱の計画を徹底しています。
冬場の暖房計画は長谷川オフィスオリジナルの「どまだんシステム」を採用。
フロアーの違いはあるものの巨大な一続きの空間には暖房機具は一切ありません。
どまだんシステムの特性と冬場の太陽角度の細密な計算とで、
パッシブな住まいに仕上がっています。
平面計画 断面計画 空間コンセプト
この住まいの間仕切り壁には温かな空気が流れる、温熱ウオールで世界を仕切る。